このところやってもいない罪で逮捕・起訴され、自白したとして有罪にされる。のちに真犯人が現れ、あるいは警察・検察の手元から無罪の明白な証拠が現れる。そんな誤判冤罪がつぎつぎに発覚してくる。こんなにはっきりした証拠があって無罪にするのに職業専門裁判官、プロの事実認定官はいらない。逆に有罪にするのに裁判官が必要だったとでも言いたくなるような案件だ。裁判で認定される事実は、「真実」そのものではなく、証拠によって認められる事実にとどまる。新たに証拠が提出されれば、変更されるべきことが予定されたいわば裁判官の確信に基づく仮説。だから誤判冤罪という結果から裁判官を責めるということにはならない。しかし、そこにはその判断過程が合理的だったかどうかという歴史的な批判にさらされることにはなろう。誤判冤罪は、冤罪被害者、犯罪被害者、裁判官などに多くの爪痕を残す。それをたどろうと思う。
(2012/10/17) |