雪冤プロジェクト - 冤罪事件データ詳細

昭和２９年８月１３日、熊本県宇城市で、強姦事件が発生した。

被害者と一緒にいた目撃者が、事件直後に犯行現場から約８００メートル離れた場所にいた甲を、服装及び人相が犯人と同じであると証言したことから、甲が任意同行された。もっとも，その際の甲の容貌及び体型に一見して目立つまでの特徴はなかった。

昭和３０年１２月２３日に熊本地裁で懲役３年の判決が言い渡され、その後控訴棄却されたが、甲が上告せずに判決が確定した。
出所後、１３回の再審請求を経て再審が開始されたが、昭和６３年に無罪判決をきくことなく死亡した。
翌年の平成元年１月３１日、熊本地裁が無罪を言い渡し、検察側が控訴しなかったために無罪が確定した。

再審では、現場検証の結果、夜道での目撃証言の信用性が疑問視された他，甲の自白も客観的裏付けを欠くとして信用性に強い疑いが示された。
また、被害者の下着に付着した体液の鑑定結果が甲の血液型と一致しないとする鑑定結果が出された。

安易に目撃証言を重視したことが招いた冤罪事件である。